キミの空になりたい
「……もしかして、涌井君のエナメルバッグに下がってるお守り作ったのも、あの子?」
くるみの言葉にドキッとする。
聞きたくても聞けなかった……。
そんな私の状態に気が付いたのだろう。
だから、くるみが聞いてくれたんだ……。
「うん。なんか、最初は千羽鶴を作ろうと思ったんだってー。でも、千羽鶴用のミニ折り紙が売り切れちゃってて、仕方なくあのお守りにしたんだって」
「……売り切れ……」
その言葉に、私はハッとした。
くるみに千羽鶴を贈ろうと決めて、帰りに寄った駅ビルの文房具屋さん。
私が買った後に、入って来た桃高の可愛い子がいたのを思い出したんだ。
さっき、試合前に綾美ちゃんと会った時、どこかで見た事あるような気がしたのは、気のせいじゃなかった。