キミの空になりたい


「うん。……好きになっても、無理だと思うから、好きにならないほうがいいって」


「上原が……」



私の言葉に、涼子ちゃんがつぶやく。


涌井君の事は君付けで、上原君は呼び捨てという事は、中学の時、仲が良かったのだろう。



「上原君、そんな事を汐音に言ったんだ……?」


「……うん。上原君が言ったって事は、涌井君の気持ちを知っているんだと思う」



私はそう言って、まだ話している涌井君と綾美ちゃんのほうを見た。


涼子ちゃんとくるみも、つられて2人の方を見る。



どこから見ても、彼氏と彼女にしか見えない2人。



「……あ」



私たちと同じように、2人を見ている人が野球部員の中にいた。


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