キミの空になりたい
でも、ひとつだけウソついた。
スッキリなんてしていない。
「汐音……」
「いやー、美男美女で本当、お似合いだよー。自然消滅で別れたのなら、お互い、嫌いになって別れたわけじゃないもん。これがきっかけで、また上手くいくといいね」
さっき、応援用に玲奈ちゃんからもらった野球部の帽子をギュッとにぎりしめた。
また、涙が出そうになったから、その帽子をかぶる。
「さて、暑いし帰るね。上原君、くるみ。一回戦突破おめでとう!涼子ちゃん、誘ってくれてありがとう」
「汐音ちゃん……」
「私は大丈夫だから……」
全然大丈夫なんかじゃない。
だけど、いつまでもこだわっていたって仕方がない。