キミの空になりたい
ああ、今やっとわかったよ……。
涌井君が空を見上げるクセ。
あれはきっと、同じ高校に進学できなかった綾美ちゃんを想って、空を見上げていたんだ。
学校は違っても、空だけは繋がっている。
綾美ちゃんがいる場所と、同じ空を見上げて、ずっと思い描いていたんだ……。
いつかまた、綾美ちゃんと同じ想いで、同じ道を歩めることを。
そして、自分の夢の場所である甲子園に、綾美ちゃんを連れていく事を……。
「……っ」
ハンドルを握る手に力が入る。
この手で涌井君と握手した日が、夢だったんじゃないかって思ってしまう……。