キミの空になりたい
ゲンをかつぐためとはいえ、私と握手してくれた涌井君。
あの時の笑顔を今でも鮮明に思い出せるのに。
……あきらめなくちゃいけない。
どんなに想っても、涌井君には届かない。
「……あれ?」
家に向かって自転車をこいだつもりだったのに、気がつけば神社の前で止まっていた。
私は自転車をとめて、鳥居をくぐり、賽銭箱の前に立った。
息を切らしながら、本殿を見上げる。
……涌井君とここで話したんだっけ。
真剣にお願いをしていた涌井君の姿も見た。
あの涌井君が、手が震えるほど緊張しているって事も知った。