キミの空になりたい
田口先生は体育の授業担当でもあるから、かなり声が通るし大きい。
今の声もかなり大きくて、離れているのにハッキリと聞こえた。
おかげで、グラウンドにいる部員たちに注目されてしまった。
恥ずかしくて、私は軽く会釈をする。
田口先生のとなりで、くるみは手を振っていた。
手を振り返してから、マウンドの方に目を向けると、涌井君は帽子をとって汗をぬぐいながら、空を見上げていた。
そういえば、さっきも空を見上げていたような……?
私はグラウンドから逃げるようにして、校門へと向かった。
赤く染まった空を見上げて、彼は何を思っていたのだろう……?