キミの空になりたい


「1人で悩まないでね。私、たくさん汐音の愚痴聞くから……」


「ありがとう。……ごめんね、こんな大事な時期なのに」


「そんな事ないよ。昨日、応援に来てくれてありがとね。ぜひまた来てね」


「……うん」



そう返事はしたものの、次は本当に行けるのかなって疑問に思ってしまった。


きっと、今度からはこちら側の応援席に、綾美ちゃんの姿があるだろう……。



「おはよう、藤波さん」


「……お、おはよう」



声をかけられて、そちらを見ると、涌井君の姿があった。



未だに、元カノである綾美ちゃんを想っているのに、こんな風に声をかけてくれるなんて。


嬉しくて喜んでいいのか、切なくて涙していいのか、わからない。


< 191 / 341 >

この作品をシェア

pagetop