キミの空になりたい
誰もいないこの公園。
公園って言うより、広場って言った方が正しいのかもしれないけれど。
私は自転車をとめて、バックネットの前に行く。
誰かの忘れものなのか、ボールが一つ落ちている。
野球の投球練習だけじゃなく、テニスの壁打ちをしている人もいるだろう。
バックネットにはたくさんボールの跡がついていた。
「……涌井君、ここでたくさん投げてるんだ」
ボールをグッとつかみながら、つぶやく私。
金子君が知っているっていう事は、もしかしたら、中学の時からずっとそうだったのかもしれない。
せっかくボールもあるし、ちょっと投げてみようかな。