キミの空になりたい


ボールを拾い上げて、さっきまで自分が立っていた場所に戻ろうと顔を上げた時、そこにはジャージ姿の涌井君が立っていた。



「……え」


「藤波さん、フォームがバラバラ」


「え?!あ、うそっ!」



顔を合わせるなり、涌井君に言われて、私は恥ずかしくなって体温が上昇してしまう。


まさか、今までのを見られていた……?!



「無駄な力が入りすぎ。もう少し力抜かないと。……野球始めるの?」


「あ、いや、違うよ。ボール落ちてたから、投げてみようかなって思って……」



私はそう言って、拾ったボールを涌井君に見せた。


それを見た涌井君がフッと笑う。


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