キミの空になりたい
「ボールが落ちてたから、投げてみようとか思う女子っているんだ?」
「……やっぱり、私くらいなのかな?」
「オレは初めて見た」
そ、そうだよね。
綾美ちゃんはこんな事しないよね……。
アハッとごまかすように笑って、私は涌井君の所に歩いて行く。
「……もしかして、投球練習とか?」
「そう。中学の時から、ここで練習するのが日課で。……藤波さんはどうしてここに?」
「へっ?あ、えっと、散歩っていうか、ヒマだから自転車で隣の学区まで探検ーみたいな」
「探検って……それ、思いっ切り小学生じゃん」
ぶはっと吹き出した涌井君。
私もつられて笑ってしまった。