キミの空になりたい
そう言ってくれるって事は、邪魔をしていないって事だよね?
私、ここで見ていてもいいって事だよね……?
「あ、う、うん。そうするっ!」
そう返事をして、私はベンチに向かって駆け出した。
西日に照らされて、涌井君の影が長く伸びている。
キラキラとオレンジ色に輝く涌井君。
投球フォームがとてもきれいで、改めて彼の事が好きなんだって自覚してしまう。
ドキドキが止まらない。
何球か投げた後、涌井君はリストバンドで汗をぬぐって、こちらへやってきた。
今日は空を一度も見上げていない。
いつもなら、投球練習中に一度は見上げるはずなのに。