キミの空になりたい
「もう、仕方ないなー。そんな事言う涌井君に、私が特別に、緊張しないお守りをあげるよ」
「……緊張しないお守り?」
「そうそう。ジャーン!」
私は胸ポケットから、雑貨屋さんで買った、野球ボールのキーホルダーを取り出して見せた。
わざわざ効果音をつけてまで。
「……これ、見た時、涌井君の事が一番に浮かんだんだよね。今日は緊張しなかったかなー?とか、すごい球投げてるんだろうなーとか」
「……」
「これ、あげる。だから、緊張しそうだったら、これを見て私を思い出して。あの時変な事言ってたなーとか、笑えるヤツだなーとか。そんな風に思えば、緊張しなくなるかもっ!」
大げさにキーホルダーを揺らして見せた。