キミの空になりたい
自分をコケにしないと、絶対に受け取ってもらえないと思っていた。
だって、涌井君ってそんな風に告白も断ってきたんだろうし。
綾美ちゃん以外のプレゼントは受け取らない……。
そんな気がしたから。
……ここまで自分を落として、受け取ってもらえなかったらちょっと悲しいけど。
「……ありがとう」
「……うん!」
だけど、涌井君はキーホルダーを受け取ってくれた。
少しだけ、彼の手が私の手に触れる。
ゲンを担げるものは担いでおく……。
前に涌井君と握手をした時、上原君が言っていた言葉を思い出す。
彼はきっと、緊張が限界まで達してきているんだ……。