キミの空になりたい
すべて終わるまで、綾美ちゃんは待ってくれないかもよ……って。
「……さて、そろそろ終わりにするか。明日試合だし」
「……そっか、明日3回戦か」
スッと立ち上がった涌井君。
明日勝てば、準々決勝。
「明日、第2試合、県営野球場だから。夏休みに入ったし、時間があったら見に来て」
「え?」
「ほら、お守りもらっても、藤波さん本人見たほうが、緊張ほぐれるし」
フッと笑う涌井君。
言い方がイジワルだけど、今の私にとっては、助かった発言。
ズキズキと胸が痛んで、涙が出そうだったから。
「よーし、仕方ないから、応援行ってあげちゃうよ?」
「アハハハ。調子に乗りすぎ」
ポンとグローブで腕をはたかれた。