キミの空になりたい
明日負けたら、この関係は終わってしまうのかな……?
試合の日がずっとこなければいいのに。
心からそう思ってしまった。
そうすれば、涌井君が綾美ちゃんに気持ちを告げる事もない。
私が、女子で一番近くにいられるというのに……。
でも、それを望んじゃいけない。
望むべきことは、涌井君の夢が叶う事だ。
私の恋が成就する事じゃない。
「明日、緊張しないでね。頑張っては言わないよ。毎日頑張ってるの知ってるから」
「……ありがとう、藤波さん」
こうしてこの時間を過ごせるのは、今日で最後かもしれない。
そんな思いを抱えながら、私は涌井君と別れて、自転車をこぎだした。