キミの空になりたい
カキーン!
2投目は威勢のいい音と共に、遥か遠くへ飛んでいく。
打球の行方を息をのんで見守る応援団。
涌井君も振り返って、打球の行方を目で追っていく。
「わあああああああああっ!」
歓声をあげたのは、梅里商業高校側だった。
ボールは、フェンスの向こう側に飛び込んで行った。
逆転サヨナラ2ランホームラン……。
梅里商業ナインがベンチから飛び出してきた。
最後のバッターがホームベースを踏んで、チームメイトに囲まれる。
「……負けちゃった……」
ポツリとつぶやいた玲奈ちゃんは、手で顔をおおって泣き出した。
つられて涼子ちゃんも泣き出す。
私は、この状況を受け入れる事ができず、マウンド上でうなだれる涌井君の姿を見つめていた……。