キミの空になりたい
「今度こそ、綾美ちゃんと幸せにね。絶対に絶対にだよ?」
「……ああ」
「変な事言っちゃって、ごめんね。忘れてね!……これからも、友達として普通にね。避けたり嫌ったりしないで……」
早口でそう言うと、私は先に自転車のところまで走った。
そして、逃げるように自転車をこいで公園を出る。
……言ってしまった。
どうして言っちゃったんだろう?
せっかく、綺麗な形でこの思い出が終わりにできると思ったのに。
「うう……っ」
こいでいる間、涙がこぼれてきた。
全力でこいで家に向かう。
悔しいな……。
失恋したって言うのに、まだこんなに好き。
空を見上げれば、まぶしいくらいに太陽が輝いている。
手を伸ばしても届かない。
涌井君は私にとって、太陽みたいな存在だった……。