キミの空になりたい
キミとふたりで
高校3年生の夏休みは、あっという間に過ぎて行った。
部活がない分、夏期講習に時間をあて、受験対策に必死だった。
その間、涌井君に会う事は一度もなかった。
金子君とはラインで励まし合い、少しずつ失恋の傷が塞がっていくように思えていたんだけど……。
「……ああ、やっぱりダメだ」
二学期。
登校して教室に入ると、涌井君の姿があった。
久しぶりに涌井君を見て、胸がズキッと痛む。
やっぱり、失恋の傷は癒えない。
大丈夫だって思っていたのに、ダメだった……。
「おはよう、汐音」
「あ、おはよう、くるみ」
自分の席に着いたら、くるみが声をかけにきた。
上原君も一緒に……。