キミの空になりたい
振り返ってギョッとした私。
申し出たのは涌井君だったからだ。
ろう下の装飾を担当していた涌井君。
上原君がうしろのドアから教室を覗きこんで、親指をたてて笑っている。
それに応えるようにくるみがうなずく。
「じゃあ、涌井君、汐音と一緒にホームセンターまでいい?」
「ああ、わかった」
涌井君はそう返事をした。
……気まずいんだけど。
「汐音、ゆっくりでいいからね。急がなくていいから」
「……」
涌井君が教室を出た後、くるみがささやいてきた。
ゆっくりでいいから……って、言われても。
もしかして、上原君とはかった……?!