キミの空になりたい
こんな事をしたって無意味なのに。
でも、仕方がない。
他の女の子が涌井君と一緒に行くのも、嫌だし。
私はメモを財布に入れると、教室を出た。
先に出た涌井君は、昇降口で靴をはきかえて待っていてくれた。
「自転車通学の宿命……だよな」
「……うん、そうだね」
フッと笑って言った涌井君。
彼は、私のお願い通りに普通に接してくれているのに、私のバカ。
今だって、きっとぎこちない笑い方だったに違いない。
2人で並んで、ホームセンターまで自転車を走らせるけれど、何を話せばいいのか全くわからなかった。
涌井君と2人きりになれた事は、前だったら本当に本当に嬉しかっただろう。
でも今は、気まずい……。