キミの空になりたい
単純すぎるって笑われるかもしれないけれど、こんなに小さな事でも本当に嬉しいんだよ。
涌井君の特別な人にはなれないというのに……。
「おかえりー、お疲れ様!」
相変わらず、バタバタと忙しそうに動いていたくるみ。
ろう下の装飾も、教室内もだいぶ出来上がってきていた。
買ったものとレシートを渡す。
「涌井君も段ボール運んでもらっちゃってごめんね。汐音と2人で休憩してて?」
「え?あ、でも……」
これ以上、涌井君と2人きりになりたくないんだけど……。
「いいからいいから。視聴覚室なら涼しいよ。誰もいないしさ」
くるみはニコニコとして、私と涌井君の背中を押した。