キミの空になりたい
せっかくだから、高校卒業を機に、1人暮らしを経験してみるのも悪くない。
自分で炊事をしながら、大学生活を送るのも勉強になると思うんだよね。
私、料理できないし、いい勉強になるんじゃないかな。
「県外?藤波さん、実家を出るって事……?」
「いや、まあ、決定じゃないけど、希望かな」
「……冷蔵庫の飲み物がミックスジュースで埋まりそう」
「……え、ないない!さすがにないから!」
気まずいとか思っていたのに、涌井君はフッと笑ってそう言った。
だから私も思わず、笑いながら全力で否定してしまった。
笑顔は人をハッピーにさせる……。
金子君の言葉を思い出した。
そう。
自分が辛くても笑わなくちゃ。
そうしなきゃ、涌井君がきっと幸せに笑えない……。