キミの空になりたい
気づいた想い
学園祭当日を迎えた。
お化け屋敷は、宣伝の効果もあり、かなりのお客さんが出入りした。
キャーキャー響く悲鳴はおさまる事を知らない。
「普段は悲鳴って嫌だけど、学園祭の時だけはすっごく快感!」
「……まあ、苦労したからな、仕掛けも」
受付に座る涼子ちゃんが、満足そうにうんうんとうなずく。
同調するように、五十嵐君が言った。
もうすぐ最初のグループと交代の時間なので、私は受付のそばで、待っていた。
2人並んで座って、会話をしている姿がすごく微笑ましい。
「ねーねー、汐音ー。演劇部からいいモノ借りちゃった」
交代の時間になり、一旦、『しばらくお待ちください』の札をかけた。
中からくるみが顔を出して、手招きをする。