キミの空になりたい
成功成功。
私はクスクスと笑いながら、ひもを引っ張って、仕掛けを元の位置に戻した。
「……人をおどかすのもなかなか爽快だな」
仕掛け人用に持たされている、ペンライトを涌井君が点灯させた。
涌井君の手には、小型の扇風機がある。
彼の座っている前は段ボールでおおわれているが、小さな穴が開いていて、そこから扇風機の風を送るという仕掛けのようだ。
私も人の事は言えないけれど、涌井君も楽な係に当たったと思う。
「暗いし、本当に怖いんだと思うよ……?」
「男も怖がってたしなー」
そうなのだ。
女の子だけじゃなく、男の子も悲鳴をあげている。
カップル以外は原則、男の子は1人で入るルールになっているので、かなり恐怖を感じているようだった。