キミの空になりたい
そして、次の人も男の子1人だった。
ゆっくりと歩きながら来ている。
「汐音ちゃんー、ドコー?」
怖がっているのかと思えば、違う。
しかも私の名前を呼んだ。
……男の子でこの呼び方をするのは1人だけ。
「んー、できれば汐音ちゃんとここに入りたかったなー。後で誘ってみよっと」
金子君だ。
彼は、鼻歌を歌いながら、通り過ぎて行った。
……しまった。
びっくりして、仕掛けをするのを忘れちゃっていた。
でも、隣の涌井君もおどかさなかった。
「涌井君?何で驚かさなかったの?」
「藤波さんこそ……」
「私はちょっとびっくりして……」
「いや、俺もだけど……」
何で涌井君が驚くの?