キミの空になりたい


「……綾美が、汐音ちゃんと話がしたいって言うから」


「話……?」



ドクンと心臓が大きく動く。


もしかして……涌井君に近づかないでって言いに来たとか?


涌井君本人から、私が告白した事を聞いてそうしに来たの?



「か、金子君……。私は、綾美ちゃんと話なんか……」


「……汐音ちゃん」



『できない』と言う前に、後ろから呼ばれた。


さっき、涌井君を呼んだ声と同じものだ。


おそるおそる振り返ると、そこにはやっぱり声の主がいた。



「綾美ちゃん……」


「金子君、涌井君が話があるって呼んでるよ?」


「おうおう。俺も言いたい事あるから行ってくる」


「うん、また後で」



金子君を見送る綾美ちゃん。


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