キミの空になりたい
綾美ちゃんは一瞬だけ、ためらった。
一度、小さく息を吐いた後、私をまっすぐに見つめる。
「……涌井君とは、さっき話して、別れたの」
「……わ、別れた?」
そう聞き返す私の声は震えていた。
別れたなんて……どうして?
「な、何で……?だって、ずっと涌井君を想っていたんじゃないの?長い間、ずっとずっと……」
涌井君だってそうだった。
だから、今度は絶対に幸せになって欲しいって……
そう思っていたのに。
「私だって、そう思っていたの。……ううん、そう思い込んでいただけだったのよ……」
「思い込んでた……?」
「私はずっとずっと涌井君の事が好きなんだって、自分でもそう思っていた」
ポロポロと綾美ちゃんの目から涙が落ちる。