キミの空になりたい
教室に戻る前に、涙をふいた。
校内は学園祭が終了し、片付けに入っている。
うちのクラスも、看板がはずされ、教室の中も慌ただしかった。
窓に貼っていた段ボールをはずし、暗幕もとった。
元の明るい教室に戻っている。
「あ、汐音ー。どこ行ってたの?探してたんだよー?」
「あ、うん。ごめんね。片付けの時間に入ったのに……」
「そういう事じゃなくて、涌井君が探してたんだって」
「……え?」
くるみの言葉に、私は教室内を見回してしまう。
涌井君は淡々と片付けの作業をしていた。
「何で……?」
「それがさー、超イケメンが涌井君のとこに来て、何か話してたんだよね。深刻そうな顔で2人とも話してたけど、それが終わったら、『藤波さんはどこ?』って涌井君に聞かれてさー」