キミの空になりたい
キミの空になりたい
そういえば……。
空いた時間に素振りをやっていたら、聞こえてきていたっけ。
ズバンッという大きな音。
あまりに大きな音だから、何の音かと思って覗いてみたら、野球部が投球練習をしている音だったんだよね。
ピッチャーが投げたボールを受けると、あんなに大きな音が出るなんて知らなかったよ。
「今日、調子いいじゃん」
「そうか?いつもとかわんねーよ」
キャッチャーの言葉に、ピッチャーは笑って言った。
そして、ピッチャーは空を見上げたんだ。
「甲子園……連れて行きたいな」
空に向かってそうつぶやいていた。