キミの空になりたい
だって、話があるってさっき言っていたし。
今、話をするなら絶好のチャンスでしょ?
誰もいないし、静かだし。
しかも私は逃げられない状態だし。
だから、話が始まるのが怖かったんだ。
「藤波さん、こんな時に言う事じゃないんだけど、聞いてほしい事があるんだ」
「……別れた事なら綾美ちゃんから聞いたから大丈夫だよ。涌井君がわざわざ言わなくても平気」
「西口から?……じゃあ、西口の気持ちを聞いたんだな。金子の事が好きだって」
「……うん」
小さく返事をする。
涌井君が綾美ちゃんじゃない誰かを好きだっていう事も聞いた。
でも、その相手が誰だかは、聞きたくない……。