キミの空になりたい
「……そっか。気が付かなくてごめんね」
「あ、いや、それは、別に……」
「愛だよねー。倒れて来た机から汐音ちゃんが守ってくれたんでしょ?愛だよねー」
「金子、いい加減に黙れ」
涌井君の顔はすごく赤かった。
「んじゃ、まあ、とりあえず中に入りなよ。言っておくけど、キミたちの時より怖く作ってあるからね」
「金子君、ありがとう」
「お礼はいいよ。汐音ちゃんが笑顔なら、それで俺は嬉しい」
金子君が言うと、綾美ちゃんも同調するようにうなずいてくれた。
何度お礼を言っても、物足りないよ……。
「楽しかったね」
桃高の学園祭からの帰り、私と涌井君は四葉台西公園に寄った。
屋根付きベンチで2人並んで座る。