キミの空になりたい
「……汐音?」
「え?あー、ごめん。好きな人の話だっけ?」
「うん……」
くるみに名前を呼ばれるまで、自分の世界に入り込んでしまっていた。
だけど、手の中にあった鶴は見事に完成している。
無意識でも手が動くくらい、折っているという実感がわいてきた。
「あー、ごめん。好きな人はいないかな……」
「そう……」
アハハと笑いながら言った私に対して、くるみのテンションは低い。
「くるみ?」
うつむいたくるみの顔は少し赤かった。
くるみは、もしかして……。
「……好きな人、野球部なの?」
「……」
私の問いかけに、くるみは小さくうなずいた。