キミの空になりたい
引退してから告白って言っていたけれど、すぐには引退して欲しくないだろうし、本当に複雑な気持ちなんだろうなぁ……。
片づけをして、忘れ物がないか、視聴覚室を出る前にチェックする。
一つでも千羽鶴が落ちていたら、大変な事になるし。
どうやら、忘れ物はないようだ。
エアコンを切って、視聴覚室を出ると、ろう下の空気は生ぬるかった。
夏は始まったばかりだけど、この暑さ何とかならないかなぁ……?
野球部はこの暑さの中で、毎日毎日汗を流して頑張っているのだから、甲子園に行けるといいなぁ。
「汐音……」
「ん?」
先に視聴覚室を出た私は、くるみに呼ばれて振り返る。