キミの空になりたい
「ごめん、汐音。もしかして疲れてるとか?」
「ううん。ちょっと考え事……」
にじんだ血で、千羽鶴を汚さないように、私はバンドエイドを巻いた。
左手の人差指と中指に巻かれているバンドエイド。
それを見て、私はため息をついてしまった。
くるみの好きな人が誰なのか、こんなに気になるなんてね。
好奇心じゃないってわかっているんだよ?
だって、ずっと私、くるみの好きな人が涌井君じゃなきゃいいなって、心の中で思っている。
「よし。後はこれを糸に通して完成!ありがとうね、汐音」
「うん……」
糸に通した分の鶴をくるみに手渡す。
残りの一羽を糸に通すと、千羽鶴は完成した。