キミの空になりたい


何の音だろう……?


ちょうど通り道だし、音の正体を見ることはできる。



「……あ」



中庭にさしかかったところで、私は足を止めた。


パァンッ!という音は、さっきよりもよく響いている。


そこにいたのは、上原君と涌井君だった。


2人は制服のまま、軽くキャッチボールをしている。


だけど、グラブにおさまるボールの音は、キャッチボールだというのに重く響いてくる。



「……藤波さん?」


「え?あっ」



立ち止まって、2人を見ていたら、上原君が私に気が付いて声をかけてきた。


声をかけられるまで、心ここにあらず状態だった……。


上原君の言葉に、涌井君がこちらを振り返る。


< 49 / 341 >

この作品をシェア

pagetop