キミの空になりたい
何の音だろう……?
ちょうど通り道だし、音の正体を見ることはできる。
「……あ」
中庭にさしかかったところで、私は足を止めた。
パァンッ!という音は、さっきよりもよく響いている。
そこにいたのは、上原君と涌井君だった。
2人は制服のまま、軽くキャッチボールをしている。
だけど、グラブにおさまるボールの音は、キャッチボールだというのに重く響いてくる。
「……藤波さん?」
「え?あっ」
立ち止まって、2人を見ていたら、上原君が私に気が付いて声をかけてきた。
声をかけられるまで、心ここにあらず状態だった……。
上原君の言葉に、涌井君がこちらを振り返る。