キミの空になりたい


声をあげたのは失礼だったかもしれない。


でも、上原君がいけないんだよっ!


私と握手してもらえとか、涌井君に言うんだもん……。



「藤波さんと握手って……何で?」



ほら、涌井君だって困惑しているし。


何でって、私も聞きたいよ。


どうして私に握手してもらえって言ったの?



「藤波さん、この前神社で、祈ってなかった?」


「え、上原君、何で知ってるの?」



ちょっとびっくりしながら聞き返した私。



「俺の家、あの神社から近いんだ。だから、神社の前を通った時に藤波さんいるなーって思って」


「あ、そうなんだ……」


「だから、ゲンを担げるものは担ぐ!だから握手して、少しでも幸運をおすそ分けしてもらえって」


「そんな事言って……。涌井君だって困るでしょ?」



涌井君を困らせないでよー。


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