キミの空になりたい


甲子園に行けなくて、涌井君の夏が終わってしまったら、もうその顔は見れなくなっちゃうのかな……?


真剣なまなざしで、ボールの先を見つめるように、好きな子を見つめる事があるのかな……?



「汐音。ボーっとしてどうかした?」


「へ?」



教室から中庭が見えるから、窓側の席でずーっと涌井君と上原君のキャッチボールを見つめてしまっていた。


いつ戻ってきたのかわからないけれど、くるみに声をかけられるまで、完全に自分の世界にひたっていた私。



「あ、くるみ……」


「何見てんの?……ああ、2人のキャッチボールね」


「う、うん……」



どうしよう……。


くるみの好きな人が2人のどちらかだったら、誤解されちゃうかな?


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