キミの空になりたい
桃高って聞いて、私はこの前、文房具屋で見かけた桃高の子の事を思いだした。
あの子、千羽鶴用の折り紙買えたのかな?
すごく可愛かったあの子……。
「ご近所同士で当たるとか最悪だね。絶対に負けられない戦いだよね」
「そうそう。でも、桃高よりうちのが強いから」
「あー、そうなんだ……?」
どこの学校の野球部が強いのか全く知らない。
毎年、甲子園に出場を決める学校は、私が住んでいる市内じゃないし。
「でも、油断禁物だよね。向こうだって、うちが相手で余計に気合い入れてくるだろうし」
くるみは最後の一口を食べ終えて、お弁当箱のふたを閉めた。
私も残りのおかずを口に入れて、箸を置く。