キミの空になりたい
窓の外を見ると、今日も涌井君は上原君と投球練習をしていた。
涌井君は額の汗を時々、リストバンドでぬぐいながら、空を見上げる。
真っ青に広がる雲一つない空。
日差しはかなりきつい。
「あー、また練習してるね、あの2人」
「……うん」
「落ち着かないのかねー。ほどほどにして欲しいのに」
くるみはお弁当箱を片付けた後、ほおづえをつきながらそうつぶやいた。
それはマネージャーとしての意見なのか……。
それとも、1人の恋する女の子としての意見なのか……。
うちのクラスの野球部は3人だけど、この場所に五十嵐君の姿はない。
くるみの好きな人が五十嵐君だという可能性はかなり低くなった。