キミの空になりたい
『ほどほどにして欲しいのに……』
その言葉のニュアンスから、ピッチャーである涌井君に向けられたもの……?
くるみが今、2人のどちらを見ているのか、私にはわからない。
少し緊張と不安が入り混じったような顔。
頬を紅潮させていて、マネージャーとしての表情ではない。
「……くるみ。そんな可愛い顔で見ていたら、バレるよ?」
「えっ?!」
周りに聞こえないように小さく囁いた私。
くるみは慌てて、ほおづえをやめて、私の方に向き直る。
「……そんな顔してた?」
「うん。思いっきり」
「……おかしいなー。今年の夏が最後なんだって思ったら、何かこう、寂しくなったっていうか……」
首をかしげながら、くるみは苦笑いをした。