キミの空になりたい


くるみは入学した時から、野球部3年生とずっと一緒だった。


嬉しい時も悲しい時も、辛い時も、全て、一緒……。


部内恋愛禁止というルールがあり、自分の想いは封印しながらも、マネージャーとして一生懸命に支えてきていたんだ。


くるみの好きな人が涌井君だったとしたら、私は絶対に勝てない。


私の知らない涌井君を、くるみはたくさん知っている。


思い出だってたくさんある。


つい最近、涌井君の見た事のない一面を見た私なんかじゃ、かないっこない……。



「甲子園……行けるといいね。私、たくさんたくさん神社でお願いするね」


「ありがとう、汐音。絶対に応援来てね!」



私の言葉に、くるみは嬉しそうに笑った。


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