キミの空になりたい


その日から、私は学校の帰りに神社に寄ってから帰るようになった。


今の私には、こんな事くらいしかできないから。


ケガがないように、体調を崩さないように。


万全のコンディションで、試合に臨めるように。



そして、まずは地方大会を勝ち抜けられるように……。



手をあわせ、深々と頭を下げて、目を閉じて祈る。




涌井君の事が好きじゃなかったら、きっとこんな風に祈る事なんかなかった。


恋の力はすごいって改めて思う。


私が一方的に好きなだけだし、そもそも涌井君の事は何も知らない。


だけど、今何を目指しているのかだけは、私にもわかるから……。



ささやかだけど、こんな風に祈らせて欲しい……。


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