キミの空になりたい
くるみが作ったかもしれない、お守り。
もちろん、それはマネージャーとしての仕事であり、野球部での伝統とも言えるもの。
そこに嫉妬するのはおかしい。
「そっか、よかったね……」
「うん、頑張ってよかった」
ホッとしたようなくるみの笑顔。
「おーっす、くるみ、藤波さん」
「あ、おはよー、上原君」
話しているところに、声をかけてきた上原君。
肩にかけたエナメルバッグ。
チャックの部分に、真新しいお守りが揺れている。
野球部マネージャーが、想いをこめて作った、ユニフォームの形のマスコット。
上原君のには、背番号2というフェルトの数字が縫い付けられていた。