キミの空になりたい
ああ、よかった……。
慌てて言った割には、ちゃんと涌井君は理解してくれた。
上原君と涌井君が、本気で恋愛関係だなんて、私が思うワケないじゃない。
でも、割って入れない信頼関係が深い事は確かだと思うけど。
「とにかく、ほどほどにするから。あ、心配なら自主練付き合ってくれてもいいぞ」
「行きますよ、行きますー。マネージャーは試合に出られないけれど、選手と一緒に戦う気持ちは同じなんだから。練習だって付き合います!」
くるみが答えると、上原君はアハハと笑った。
涌井君は、フーッと息をつくと、自分の席へと行ってしまう。
「……えっ?」
彼のエナメルバッグにも、マネージャーお手製のユニフォームのマスコットが揺れていた。
だけど、それだけじゃなかった。