キミの空になりたい
涌井君の事が好きなんだとばかり思っていた。
だけど、ショックを受けている私とは正反対に、ワクワクしたような顔のくるみ。
ずっと気持ちを封印していたのなら、私以上にショックを受けるはずだ。
それが全くないって事は、涌井君に対して、恋愛感情がないという事。
そして、五十嵐君でもなく、涌井君でもない、同じクラスの野球部の人と言えば、残るはただ1人……。
「い、言わないでね!絶対絶対ナイショなんだからね!」
「言わないよ……」
慌てる姿がとても可愛く見える。
顔を真っ赤にして、焦るくるみ。
それを見て、ホッとしている自分がいる事に気が付いた。
くるみがライバルだったら、絶対に越えられないって思っていたから……。