キミの空になりたい
くるみと好きな人が違う事に関してはよかったけれど、涌井君に彼女がいる事は決定的。
私が受けたショックが取り消されるものではない……。
「……ねえ、汐音」
「ん?」
パタパタと下敷きであおぎながら、くるみが私の名前を呼んだ。
「汐音こそ、涌井君の事……?」
「え?!そ、そんなわけ……」
「そうかなー?自分で気づいてないだろうけど、汐音、結構、涌井君の事、ガン見してるよ?」
「えええっ?!」
そ、そうなの?!
私、誰にも知られないように、こそこそと見ていたつもりなんだけど……。
「汐音は自分の気持ちに素直になったほうがいいよ。私みたいに、恋しちゃいけないわけじゃないんだし」
そう言ったくるみの顔は、切ないものだった。