キミの空になりたい
部活が終わって帰る時、みんなエナメルバッグにもらったお守りを付けていた。
オレも、背番号1の入ったお守りをつけた。
そのお守りと並ぶようについているのは、野球のボールをかたどったお守り。
中央には『必勝』と赤い糸で刺しゅうが入っている。
「……これは昨日、もらったんだ」
「お?翔平が女からのプレゼントを受け取るなんて珍しいな。いよいよ、新しい恋に目覚めたか?」
「……アホか」
大輔のニヤニヤ顔には、あきれてため息しか出ない。
「アホって何だ?アホって」
「アホにアホって言って何が悪い?」
そう言って、オレは教室を出る。
後ろから大輔が追ってくる気配がした。