キミの空になりたい
テスト一週間前だから、部活が休みとなった校内は、いつも以上に騒がしかった。
みんな、制服姿で昇降口に殺到している。
「俺はなー、心配してんだぞ?モテるのに誰とも付き合わない翔平をさー」
「それはどうも。でも、そんな心配いらねーよ。今、オレは……」
「試合の事しか考えられねーっていうのはわかるけど、そんなの今に始まった事じゃないじゃん。お前、高校入学してからずっとそれの繰り返しだっただろうが」
靴をはきかえて、昇降口を出ると、部室へ向かう。
大輔も後からついてくる。
「なあ、翔平。お前、まだ西口の事、引きずってんだろ?」
その言葉にオレは足を止めた。