キミの空になりたい
だから、オレにとってこの話は本当にありがたかったんだ。
たとえ、野球推薦で落ちても、一般受験できる学力はある。
自転車で通えるし、ここなら西口も一緒に進学できるだろう……って。
本気でそう考えていた。
でも、結果は全く予想をしないものとなった。
オレは、野球推薦で四葉台高校に合格した。
だけど、同時に西口は桃野宮高校に推薦入試で合格したのだ。
「ごめん……。ずっと言えなかったんだけど、学校の先生から、桃高を勧められて……」
合格の報告を受けた時、西口は申し訳なさそうにオレにそう謝ってきた。
野球推薦のために、引退した野球部に再び出入りするようになったオレの邪魔をしたくなくて、西口はずっと黙っていたらしい。