キミの空になりたい


桃高も家から通える場所にあり、学校の帰りに西口とバッタリ会う事も多かった。


最初は何となく気まずかったけれど、お互いに学校の事を少しずつ話していくにつれて、いつの間にかそんな空気はなくなっていた。



西口は、中学の時と変わらず、楽しそうな笑顔で話してくれる。


それを見た時、中学の時に戻ったみたいな感覚で、オレは本当に嬉しかったんだ。


だけど、西口に自分の想いを伝える事はできなかった。



学校が違うと、生活時間も違う。


それにオレは野球部で、中学の時以上に野球への想いが強い。


なんせ、夢の甲子園がかかっているのだから……。



自分の想いが届いたとしても、オレには西口を大事にする事はできない。


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